書斎裏に完成した倉庫兼工房に設置した「かがり台」とは

Bonjour.

昨年末に、書斎裏手で大々的な改装工事を実施しました◎ 元々裏手には見るに堪えない超絶オンボロな倉庫と同じく超絶オンボロな建物に囲われたトイレがあったのですが、それらの外壁をほぼほぼ取り去ってほとんど新しい建物と言えるような倉庫兼作業場を施工して頂きました✨ 今回は番外編として、この出来立てほやほやスペースで活用予定のかがり台を中心に見ていきたいと思います。

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

で、こちらが裏の倉庫内の様子です。右側は以前と同じく倉庫として使用してますが、左手は私のプチ作業場として新設して頂きました😁 まぁ大した広さも無いので出来ることなんか所詮知れているのですが、ここで本格的な製本をしようとか思っている訳がないので現状では十分なスペースです。実は当初、製本というよりも本の修復を中心に活用しようかと考えていたのですが、動画でも紹介している「かがり台」が書斎内で完全に宝の持ち腐れとして放置され続けていたので、どうにかして~なぁ~と思っていたら業者の人が「作業台にくっつけちゃいましょうか?」と最高のアシストをしてくれたおかげで、ワンチャン使用する可能性を帯びてきました、思ったら、思いがけず早速出番が舞い込んできたのです😍

昔の本、厳密に言うと19世紀以前に作られた本は、全て糸綴じて作られていました。日本でもその昔は和綴じ本という糸で綴じる製本様式を採用していたのですが、西洋の糸綴じ本とは製本の仕方が全く異なります。西洋の糸綴じの場合、基本的に16ページごとに糸で繋いでいくという作業を繰り返すことになるので、例えば全部で192ページの本ですと12回は綴じ作業が発生し、倍の384ページの本ですと24回の綴じ作業を必要とします。つまり、本のページ数が増えるほど背中を綴じるのに手間がかかるということです。和綴じですと穴を空けた本の側面に糸を通すので、ページが200だろうと500だろうとかかる手間は一緒です。

参考までに書斎にある和綴じ本です。

製本の効率だけ考えると和綴じ本の方が圧倒的に優位ですが、単純な製本様式ゆえ糸切れが頻繁に発生します。一方で西洋式の糸綴じは少しずつつなぎ合わせる様式なので、和綴じ本と比べ物にならないほど頑丈な本が作れます。動画の通り、現在は糸綴じの本なんかほぼ作られる機会はなくおしなべてホットメルトで背中をくっつけていますが、はっきり言って糸綴じの方が数百倍頑丈です。

最終的に装幀を完成するには色々な道具が必要で、特に綴じ糸、帯麻、製本用針、寒冷紗(荒く織り込んだ薄い布)、ヘドバン、表紙に使う紙や布、見返し用の紙くらいは、最低限あった方が良いでしょう。今回紹介したかがり台は、あくまでも背中を糸で綴じるだけの道具で、この状態から本格的なハードカバーの本へと誂えることが本来の装幀を示す言葉です。実際にはフランス語のルリユールの方が世界的な通り名になっているみたいですけどね!

おわりに

かがり台って、そもそも製本するのに必須の道具ではありません。ホットメルトで固めた普通の文庫本を製本するのであれば、そもそもかがる作業自体が無いので、いきなりハードカバーにする作業から始まることになります。それに仮に糸綴じの本であっても、帯麻さえテープで固定してしまえば、かがり台なしでも製本は可能です。(実際そういった形で私は糸綴じさせられました。)といった訳で、伝統的な製本様式でもない限り本の表紙を誂える作業の敷居はそこまで高くはないです。市販の本でも作り方が紹介されているので、ご興味がある方は探してみて下さいね!以上。

動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。

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