ゲテ本その3  紙魚供養 斎藤昌三と書物展望社 変わった装幀

Bonjour.

久しぶりのゲテ本に関するトピックです。ゲテ本と言えばやはりこの言葉を広めた人物が作った本を紹介しない訳にはいきません。その名も斎藤昌三。恐らくこのジャーナルをご覧になっている大半の方が名前すら聞いたことがないと思いますが、一応本の書誌や装幀に関する考察や研究では高名な人です。さらに蔵書票の情報も日本でいち早く入手して広めた人でもあります。ちなみに今まで斎藤昌三の本を紹介しなかったのは、単に紹介するに足る本を持ってなかったからです笑!😂 

 

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございす。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

 

 

これぞまさしく斎藤昌三の作った本だなぁと思う最大の特徴の一つは、印刷ではなく現物を使用する点です。今回ですと封筒がそれに当たります。別の本ですと挿絵に肉筆の原画を使用していたり、蔵書票を紹介する本であれば蔵書票の現物を貼り込んでるなんてことは、全く珍しくありません。

もう一つの特徴は、部数限定本と言いながら実質一部限定本であるものが多いこと。何言ってるのか分からないかもしれませんのでもうちょっと掘り下げて説明します。今回の本は500部限定本なのですが、貼り付けてある封筒は見ての通り現物ですので、他の499部の中に一つとして同じ封筒はありません。その意味においては一冊一冊装幀が異なるわけで、たとえ500部限定といえどそれぞれ封筒の関係によりデザインは一つ一つ異なる一部限定とも言えるのです。理解出来ましたか?笑

 

 

以前のゲテ本トピックでも紹介した通り、ゲテ本というのは要はゲテモノ的な本ってことで装幀の常識を破ったような一風変わった造本が特徴として表れたものになります。(恐らく)内藤正勝という装幀家が斎藤昌三の本の装幀を多く手掛けていたと思うのですが、内藤自身も自分が主催する青園荘か造本小僧浮世戯書というとんでもないゲテ本を100部限定で刊行しています。具体的には本の中に本物のタバコが入っています😂笑。詳細はこちら

斎藤の紹介している明治の横浜はチャブヤ(売春宿)の推移についてですが、この時代の横浜って結構任侠道がまかり通っていたエリアらしくて、血なまぐさい連中の争いごとが絶えなかったようです。この辺は戦前の講釈師伊藤痴遊の随筆に詳しいです(書斎にあります)◎

 

蔵書票は本を購入した人が自分の蔵書に貼るのが一般的ですので、こういったケースは非常に珍しいです。ただ私が私淑(というか同志的感覚)している水曜荘を主催していた故酒井徳男も、自身が刊行した本に自らの蔵書票を貼り付けて配布したりしていました。僕も次回出版の本で倣おうかな。。。丁度テーマも蔵書票だし😂

関野凖一郎は戦前戦後に活躍した木版作家で、日本で唯一の蔵書票関連団体である日本書票協会にも籍を置いて様々なコレクターに向けて蔵書票を制作していました。舞妓か何かを題材にした連作版画みたいなものも知られていますね。

おわりに

 

今回紹介した限定本は斎藤昌三のゲテ本としてはほんの序の口で、今まで見せて頂いた中で一番狂っていると感じたものですと食用海苔を表紙に使用した本というのがありました笑。しかも刊行が昭和21年だったはずなので、戦後間もない物資不足甚だしい時代に食いもん使った本なんか作んなよ!っと思わず突っ込みたくなったのは言うまでもありません😂😂😂 もちろん中身も(確か)海苔とは一切関係の無い豆本の話でしたので、これに関しては一体何がしたかったのか私にも理解不能です笑。まぁきっと大した理由なんてなく使いたくなったから使っただけだと思います😂 これはゲテ中のゲテ本だなぁと今もなお思い出しますね。以上でっす!

 

 動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。

コメント

Translate »
タイトルとURLをコピーしました