童話作家初山滋作の蔵書票、および手掛けた装幀など

Bonjour.

初山滋という童話作家をご存じですか?もしかすると童話よりも本の装幀に詳しい方に認知されている人物かもしれません。初山滋は童話と言うジャンルの基礎を作り上げた功労者の一人で、多くの本の装幀にも長年に渡り携わってきたのですが、実は彼の手による蔵書票も数枚確認されています。今回はその中でもちょっと珍しい人物のために制作したものを紹介します。

 

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございす。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

 

 

こちらが蔵書票です。票主(蔵書票の持ち主)は少雨荘と刻まれていますが正式な票主名は斎藤昌三という戦前戦後に活躍した本の研究家です。それだけに留まらず、恐らく日本で最初の蔵書票協会を立ち上げたメンバーのうちの一人です。そういった経緯もあり、斎藤の蔵書票は現在でも数え切れないほど各所で遺されています。もしかしたら日本で最も多くの自票(自分の蔵書票)を所有していた人かもしれません。その経歴から、私にとっては背を向けて寝られない人物です笑。

ちなみに蔵札という言葉は単に蔵書を表していると考えて頂ければ結構です。これは斎藤独特の表現でして一般にはほとんど使われないワードです。

 

 

話作家で蔵書票と制作していた言えば、初山滋よりも武井武雄の方が圧倒的に有名です。丁度蔵書票協会に勢いがあった時期に活動していたことも後押ししたのか、自分の作品をまとめた蔵書票作品集も制作しました。武井はむしろ童話作家よりも装幀家的な側面の方が強い人物で、限定部数で凝った造本を沢山世に送り出しました。だったら最初から初山じゃなくて武井を紹介しろよと突っ込まれそうですが、今回は票主(斎藤昌三)の部分にも着目したかったので初山の方を選択しました😊 呂古書房は豆本や蔵書票を多く取り扱っている神保町の古本屋で、私もたまに水曜荘関係の本を買ったりしています😉

 

 

初山が装幀(ブックデザイン)したこちらの「幼き日のこと」は1940(昭和15年)に出版されているのですが、何とその後一度も再販されておらず国立国会図書館のデジタルライブラリーでも公開されていません。なので実物が見たい方は、古本屋で現物を探して購入しなければならなりません。しかもそれほど出回っている訳でも無いようなので、しらみつぶしに回って探すのは苦労すると思いますけどね。。😂まぁうちに来ればいつでもお見せしますのでお気軽にお声がけ下さいね😋 戦争色が濃くなってきた不穏な時代にこういった心温まる本が作られた事実にちょっとほっこりしました。

 

おわりに

先ほど紹介した武井武雄は確かに多くの蔵書票を遺しているのですが、正直なところ絵柄としては初山の方が圧倒的に好みです。武井は子供がいかにも好きそうな絵柄を描いた作家という印象が強一方で、初山はより象徴的な描き方を好んだのではないかなと思います。参考までに二人の作画を下に紹介しますね~では!!!

初山滋

武井武雄

動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。

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