折本について 本の形の歴史 冊子本と巻子本

Bonjour.

折本」という言葉を聞いたことがありますか? 中国伝来の製本様式で、今の日本ではお経などの製本にしか使われていない蛇腹の本を指します。その特殊な形状から、西洋では「アコーディオン・ブック」と呼ぶこともあるようです。今回は折本の中から趣の異なる二冊をピックアップして紹介していきたいと思います😊

 

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございす。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

 

まずは深沢七郎の代表作の一つである「みちのくの人形たち」私家版です。私家版というのは、出版社を通さずに自主的に制作した本を指します。深沢七郎についてはこちら。みちのくの人形たちは1980年に単行本として中央公論より初版刊行されているのですが、こちらの私家版はそれよりも早い1979年に制作されています。早急に完成させたい何らかの理由があったのかも知れませんね。折本という珍しい形状にしたのは、恐らく供養の意味合いを込めたかったからだと思います。この作品の主題が子殺し(口減らし)なので、せめて自分で作る本くらいは般若心経のような折本に仕立てて、形だけでも供養を表現したかったのでは??

 

 

その昔、紙で作られた書物の大部分は巻物であったとされています。古代エジプトのパピルスにしても、紙同様に容易に折り曲げられたために巻いて保管していました。巻物が今回の折本や現在の冊子の形に変化していく大きなきっかけとなったのは、恐らくキリスト教聖書が作られ始めたことが関係しているのではないかと推測しています。ヘブライ聖書と合わせると途轍も無いボリュームになるので、巻物で制作すると所定のページを参照するのに間違いなく難儀します。折本や冊子本はその致命的な問題を解消するのに適していると評価されたのかもしれません。

 

 

主に江戸期に活躍した画家のハンコを中心に紹介した折本です。太田南畝、渡辺崋山、滝沢馬琴など画家というより文筆家のハンコも多数掲載されています。ほとんどは日本画の落款として使用されたものですが、本に押し込んで所有者を示す蔵書印として使用されたハンコも中にはあるように思います。ちなみに酒井抱一は私の書斎がある場所のほど近くにある墨田区向島百花園にて、一風流画家として一世を風靡していました。

 

おわりに

 

折本って何となくパラパラ捲っているだけでも楽しいというのが率直な感想です。この特殊な構造は現代の人たちには目新しく映るんじゃないかな~とひそかに期待しています。折本の復権とまではいかないまでも、製本様式として再評価の余地は十分にあると思っています。以上!

 

動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。

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