本のイラストが蔵書票として使用されることについて アルフォンス・ミュシャとルーカス・クラナッハ

Bonjour.

蔵書票は原則として作家と依頼主の話し合いによるオーダーメイドで作られるので、そのデザインが外部に流出するようなことはありません。しかしながら例外的に本の挿絵などで使われたイラストが蔵書票にも流用されるケースがありました。今回はルネサンスの大家ルーカス・クラナッハとアールヌーボーの旗手アルフォンス・ミュシャが制作した蔵書票を例にとって紹介していきます。

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございす。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

 

まずはアルフォンス・ミュシャから。ミュシャはこの他にも確認されるだけで5点ほどの蔵書票を個人向けに制作していますが、こういった雑誌とデザインが酷似したものはこれ以外に見つかっていません。ミュシャはレスタンプ・モデルヌの他にLA PLUMELE MOISなど数々の文芸誌の表紙を手掛けており、この時期まさに時代の寵児的な活躍をしました。ちなみにLE MOISの表紙絵の一部も本来はポストカードのデザインとして使われていたもので、それらを雑誌用に流用したことが分かっています。なので蔵書票を作る際にも特別躊躇は無かったように思われます。

 

こちらはいわゆるオールド・マスター(18世紀以前の優れた画家)の代表格の一人であるルーカス・クラナッハ(父)の制作した蔵書票です。何で父とわざわざ記したかと申しますと、彼の息子であるクラナッハもそれなりに有名な画家でして念のため言及しました。こちらは先ほどのものと異なり、全く同じ版をそのまま蔵書票に流用しています。守護聖人とは、特定の職業や国を守ってくれることを期待して作られた概念で、ペテロは教皇、漁師、パン屋を守護すると言われています。教皇と漁師は彼の人生からすると容易に想像がつくのですが、パン屋は何で??という印象しかありません😂 クラナッハもこれ以外に少なくとも手彩色の蔵書票を一点制作しています。

 

おわりに

蔵書票は現在においてもほぼ例外なく版画で制作されますが、今回のようなケースは99.9%起こりえないと考えられます。だって版画が表紙の雑誌なんて今作ったら、一体一冊何円で販売することになると思います笑? 昔は今のようなデジタル印刷機など無かったので、複製するためには版画しか手段が無かったのです。そういった時代背景が今回の珍しい事象を産み出したという訳です。お・わ・り!!!

 

動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。

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