国外における、蔵書票の様々な呼び方 

Bonjour.

これまで蔵書票、蔵書票と、様々な観点からしつこく解説してまいりましたが、至極当たり前の話としまして、これは日本国内での呼び名です。国外におきましては、口語表現としてはエクスリブリス(EX LIBRIS)が半ば通り名となっており、蔵書票に関する著作などではブックプレート(Book-Plate)が一般的に用いられる傾向にあります。とは言え、古くからエクスリブリスが蔵書票を指し示す言葉であったかと問われれば、それは違いますと明言せざるを得ません。それでは、嘗てはどのような呼び名があったのか、その辺を中心に軽く触れてまいります。

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

まずはお馴染み?のエクスリブリス(EX LIBRIS)。スクロール(巻物)と呼ばれる部分に刻まれています。20世紀前半に作成されたと推測される、lavedan de casaubon家(貴族)のものです。EX LIBRISの文言自体は、私の知る限り、古くは16世紀頃から使用が確認されています。ただ、現在のように蔵書票を示す共通言語として広まり、多用され始めた時期は、19世紀の後半頃からです。以前のトピックご紹介した通り、蔵書票のみに限定されない、より広い意味で使用出来る利便性が好まれた点も、エクスリブリスが普及した一因と思います。

お次は「HIS BOOK」。「彼の本」と印刷されている点から、蔵書票であることが担保されます。こちらのように英語で表記されている場合、ほとんどが英語圏(特に英国)で制作された蔵書票とみて間違いないです。また、「This book belongs to 本の所有者の名前」も、好んで用いられる表現の一つです。エクスリブリス同様、こちらも19世紀以降より見受けられるようになりました。 

まずお詫びから。Lucernaeはどうやら人名ではなく、ルツェルンというスイスの都市を表しているようです。しーましぇん。Conventualumは修道院を表す単語なので、もしかしたら個人ではなく、修道院に帰属する本であった可能性もあります。冒頭の「Bibliotheca」は、図書館や書架を示す言葉で、英語においても類似した意味を持っているので、単語に馴染みのある方もいらっしゃるかも?Bibliothcaが使用される場合は、相当に古い蔵書票であることがほぼほぼ確定します。Bibliothecaの意味が示す通り、当時本を数多く所有していた人々の書斎は、むしろ図書館の様相を呈していたとされており、実際、膨大な冊数を所有していることを誇示するようなデザインが、17,18世紀の蔵書票に数多く見られます。

最後は、エクスムゼオ(EX MUSEO)。こちらは、滅多に見られない文言です。そして先のBibliotheca同様、古い書物に貼り付けられるケースが多いようです。(写真のものも16世紀の本です)途中要領を得ない不明瞭な発言をしていますが、要は、エクスムゼオは「本以外」にも、例えば、絵画の額の裏や、陶磁器、彫刻など、所有しているあらゆるものに貼りつけていたと主張している人物がいるのです。ちなみに現状、私はこの説を信用していません。話が長くなること請け合いなので、詳細は別のトピックに譲ります。

おわりに

19世紀以前、現在のように蔵書票を指し示す単一の言葉はありませんでした。単にplateと表現したり、あるいはlabelと言ってみたりと、人々によってまちまちだったのです。そういった経緯が、今回のような言葉の多様化へと繋がっていることに、疑いを挟む余地は無さそうです。蔵書票を制作するにあたり、貴方はどういった文言を選択するでしょうか?でわでわでわ。

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