19世紀の挿絵本「大都市パリ」について 鹿島茂氏の著書などで紹介されている一冊

Bonjour.

本を購入しておきながら、中々手をつけずに積んでしまうことって誰にでもありがちだと思うのですが、今回紹介するLA GRANDE VILLE NOUVEAU TABLEAU DE PARIS (1844) は私が買ってからしばらく積むというより放置してしまっていた本です😅 日本語に無理やり訳すと「大都市パリの新たなる風景」とでもなるでしょうか? 当時における最新のパリの文化風俗を紹介した本で、登場人物のセリフなんかもあったりして小説仕立てになっています。おそらく臨場感を出したかったんでしょうね。バルザックや大デュマなど、当時人気を博していた作家が寄稿しているのも興味深いですね😁

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

19世紀前半のパリに、お風呂が備え付けてある家なんてほとんど無かったに等しいらしいです笑 入りたくても、上下水道共にごく一部の上流家庭くらいしか通ってなかったようですので、貧困者がどうしても水に浸かりたいのであれば、それこそセーヌ川に飛び込む他無かったでしょう。なのでこの挿絵に見える男性の階級は、少なくとも中産、いわゆるブルジョア以上であったことが分かります。

一方で公衆浴場もあったらしいのですが、説明が乏しく詳しいことは分かっていません。フランス文学が専門の鹿島茂さんは、1830年には78軒もの公衆浴場があったと説明していますが、こちらの本では公衆浴場は珍しくはないものの、道幅が広くて長い大通りにしかないようなことが書かれています。

備え付けはないけど、どうしても家でお風呂に入りたい!といった人向けに、何と風呂の出張サービスがあったそうです🤣 浴槽はもちろんのこと、水道設備も完備されていないので、お湯まで持ち込んでくれる気合の入れようです🤣 何て非効率なサービスなんだなどど、なじってはいけません笑!ある意味では備え付けの風呂よりも贅沢なんじゃないでしょうか?だって全部業者が用意してくれるんですからね😂 ちなみにあのショパンもこの出張風呂について言及しているそうです。それと、こんな挿絵も見つけたので参考までに下に添付しておきます。まさに風呂の出前です😁

それと洗濯船という変わった文化?もありまして、セーヌ川で衣服を洗っている様子が窺えます。一応申し訳程度の屋根がついてはいるものの、暖房設備も何もなくむき出しの状態で陸地に係留されているだけなので、雨風などがあるとまるで防げなかったようなことが書かれています。しかもセーヌ川は現在のガンジス川同様に生活排水化していたようなので、ビビるほど汚かったはずです。コレラが蔓延したのもうなずけます。

現在のフランスでは、路上だろうがカフェだろうがおかまいなしにスパスパ喫煙しています😁 恐らくカフェの利用用途が現在と少し異なっている部分があって、例えば個室が用意されており一部の顧客がサロン的に使っていたりしたようです◎ それと賭け事で身を滅ぼすのはこの時代に限ったことではありません😂 こちらの挿絵では「エカルテ」と呼ばれるトランプゲームに興じており、19世紀にカジノ等で流行したギャンブルらしいです。

おわりに

こういったちょいと皮肉がこもった風俗本というのは、フランス革命以前においては私の知る限りほぼ出版されていないと思います。世界の歴史の中では様々な革命が勃発しましたが、中でもフランス革命はいったん国が崩壊したといっても過言でないほど、それまでの社会通念が認められなくなりました。貴族という貴族がことごとくつるし上げにされたんですね。一般市民の台頭が、こういった大衆に焦点を当てた出版物の出現に拍車をかけたことは言うまでもありません。ちなみにフランス革命は、蔵書票の在り方にも多大な影響を与えました。こちらは別のトピックにてご紹介します。今日はここまで!

動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。

コメント

Translate »
タイトルとURLをコピーしました