銀細工の蔵書票 par l’euphorique

Bonjour.

私の書斎であるLE PETIT PARISIENでは、不定期ながら、美術作品の展示を実施しております。2020年6月から7月にかけては銀細工の蔵書票展、「EX LIBRIS en argent et quelque chose…」を開催し、過去に類例の少ないと思われる、「一冊の本に対して一点物の蔵書票」を紹介致しました。今回は、こちらの展示の様子を映像に収めました。

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

須永朝彦に関しては、あまり言及できることが無いのですが、嘗て紐解いたエセーから想像する限りでは、極端に浮世離れした人物だなぁと推察しています。(自分もか。。)これまで銀で作られた蔵書票というものを、私はついぞ見たことがありません。パリの装飾芸術博物館が所蔵しているといった話を仄聞しておりますが、実物には見えておりませんので、実質こちらの蔵書票は、世界で唯一の銀細工による作品群と言えなくなさそうです。ちなみにこちらの作品はプレスによる型押しではなく、全て手彫りによるものとなります。


装飾のほとんどは、アールヌーヴォーとデコをミックスしたようなデザインとなっており、エスプリとエレガンスの極致を感じます。楕円が刻まれた蔵書票は、いわゆる盾形紋章の盾のデザインを彷彿とさせます。全ての紋章は盾に刻まれるのが鉄則で、盾の種類も様々なのですが、こういった楕円形の盾も多く紋章として採用されました。そして個人を特定する役割を持つ紋章は、蔵書票にも積極的に取り入れられた訳です。参考までにお写真添付。

Aromrial Book-plates second series 1892 (書斎蔵)

おわりに

原則としてオーダーメイドである蔵書票は、注文すると約30~100枚程度制作・納品されます。そして納品されたものを、自らの蔵書にペタペタと貼り付けるのが、本が未だ「資産」であった頃の上流階級の愉悦であった、然しながら、そういった時代にはとうに過ぎ去り、別トピックでも指摘したように、現在ではコレクションや交換の用途として親しまれるケースが大多数となっています。思うに、従来通りの枚数を納品する行為は、或る意味で「時代遅れ」と私は確信を持って感じています。寧ろ、お気に入りの一冊に対して、一個の蔵書票といった関係の方が、読書のみが個人の娯楽ではなくなった現代では適切ではないでしょうか?その意味において、今回の銀細工蔵書票展は、蔵書票界へのアンチテーゼ的な意識を持って実施しておりました(企画を提案してくれたのは作家さん)。私の戦いはこれからですけどね。それではメルシー、アビアント、ボンジュルネー!!!

ご興味がございましたら、youtubeのチャンネル登録にご協力頂けますと幸いです。動画の全編は下記となります。ご参考までに。

 

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