ホローバックとタイトバック

本の構造

Bonjour.

読書の折、「本の開き」に注目する方は、中々いらっしゃらないものと想像されます。試みに、ご自宅の蔵書を開いて頂くと、その違いにお気づきになるかもしれません。開きの良し悪しは、単にデザイン上の差異のみならず、各々一長一短の特徴を持っています。

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

こちらがホローバック(hollow back)。日本語では、腔背と呼ぶそうです。背中部分がぱっかり空いていますね。本の背表紙からページの束が分離することで、大きく開く余裕が生まれるのです。本の量産が本格化した18世紀頃より、徐々に一般化したとされる製本様式です。

そしてこちらがタイトバック(tight back)。ご覧の通り、背とページの束がぴったりとくっついています。タイトバックは開きが良くないので、無理やり開いてもすぐに開いたページが閉じてしまいます。古典的な装幀は、その殆どがタイトバックで作られています。

ホローバックとタイトバックのいずれが優れているかに関しては、あまり検討する意味はありません。歴史からすれば、ホローバックはタイトバックの進化系と言えなくもありませんが、より正確に言うならば、物質としての本の価値が変わったことで、本の形状もそれに合わせて変化したのです。ホローバックは、本の「実用性」に重きが置かれた結果です。

おわりに

本が書棚を飾る装飾的役割、すなわち、本それ自体に価値があった時代がありました。表紙全体に宝石が散りばめられた本に、実用性は必要なかったのです。タイトバックからホローバックへの過程は、貴族の嗜好品であった本が平民の所有物、すなわち、大量生産物となった事実を、暗に示しているように思います。おまけに、9世紀に造られた宝石装幀本を添付します。それではメルシー、アビアント、ボンジュルネー!!!

出典:https://daten.digitale-sammlungen.de/0010/bsb00107609/images/index.html?fip=193.174.98.30&id=00107609&seite=1

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