蔵書票のスタイル

所有者を示す方法

日本における蔵書票 

明治時代後期、オーストリア人版画家により日本に伝わったとされる蔵書票が、静かに産声を上げました。日本では「蔵書印」が、長らく所有者を示す道具として活用されてきた関係で、蔵書票は暫くの間人口に膾炙しないままに、一部のコレクターによって親しまれてきました。
蔵書票あれこれ

マダム・デュ・バリーの蔵書票 紋章型

「マダム・デュ・バリー」の名前を聞いたことがある方は少なくないと思われます。特に、ベルサイユのバラでの悪辣な発言と高慢な態度は、記憶に残る映像の一つでしょう。実は彼女も、蔵書票を所有する、いわゆる票主の一人でした。
挿絵としての蔵書票

挿絵としての蔵書票2 橋口五葉

後世に名を残している画家の手による蔵書票というものを、時折見かけます。今回紹介する橋口五葉は、明治・大正と二つの時代を又にかけて活躍した画家です。彼の業績の中で比較的良く知られているのが、夏目漱石の著作の装幀で、その一つに蔵書票?と思しき版画を刷り込んだ一冊があります。
蔵書票あれこれ

革で作られた蔵書票

蔵書票の素材として選択されるもののほとんどは、「紙」です。一方で、「革」で作られた蔵書票というものが、ごく稀に存在しています。紙であっても革であっても使用法に変わりはありませんが、一冊の本に対する想いの強さを、革には強く感じます。
その他

銀細工の蔵書票 par l’euphorique

2020年6月から2週間の期間を設けまして、蔵書票の展示を実施致しました。素材は何と銀細工!通常、蔵書に貼り付ける用途から、平均で50枚から100枚ほどが納品される蔵書票ですが、こちらは正真正銘の一点ものの作品となります。言わば、一冊の本に対する、一点の書票です。
蔵書票あれこれ

ヴィクトール・ユゴーの蔵書票

近代フランスを代表する大作家であるヴィクトール・ユゴーも、職人に自らの蔵書票を制作させていました。彼の代表作の一つでもある、「ノートルダム・ド・パリ」を象徴したデザインとなっており、一目でユゴーの蔵書票であることが分かる、グラフィカルな作品です。
蔵書票あれこれ

蔵書票と紋章

椅子や机、食器など、特定のモノの持ち主を証明する最古の手段として、「紋章」があります。紋章はそれらのみならず、本の所有者の特定、すなわち蔵書票にも活用されてきました。蔵書票の歴史は、紋章なしには語れないと言っても過言ではありません。
蔵書票あれこれ

剥がされた蔵書票

蔵書票は本来、書籍の見返しの部分に貼り付けて使用するものであることは、既に散々説明してまいりました。にもかかわらず、今回紹介するような蔵書票が一部で流通している所以とは一体何故か。実は、時代の変遷による、蔵書票の在り方の変化に起因しているのです。
所有者を示す方法

蔵書票の「票主」

蔵書票はオーダーメイドで作られるのが一般的ですので、当然それを注文する依頼主がいなければなりません。日本ではそういった奇特な方々を言い表す造語が、いつともなく使用されるようになりました。
蔵書票のスタイル

蔵書票の技法について

蔵書票は版画でなければならないと思い込んでいる方がいるのは致し方ない状況とは思います。実際、ギャラリーで販売されているものは、その殆どが版画で刷られていますし、ヨーロッパにおいても、長らく版画で蔵書票は制作されてきました。ただ、実際には技法は何でも構わないのです。
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