ヴィクトール・ユゴーの蔵書票

Bonjour.

蔵書票の票主(所有者)は、名も無き路傍の人間から、由緒正しい貴族階級のダンディまで様々です。それに加え、著名人の中にも職人に蔵書票を作らせたり、あるいは自ら制作したりして使用するケースが、少なからずありました。今回はその中の一人、日本でもお馴染みのフランス人作家ヴィクトール・ユゴー(1802-1885)が作らせた蔵書票を紹介します。

いかにも、ユゴーらしいデザインにまとまっている蔵書票と言えるでしょう。画面全体に描かれたノートルダム大聖堂は、恐らく彼の代表作「ノートルダム・ドゥ・パリ」から着想を得たものと容易に想像されます。大聖堂を切り裂くような落雷や、大聖堂全体を包む黒い靄は、物語の不吉な展開を予兆させるに十分な構図です。ユゴーにとっても思い入れのある作品なのでしょうか。

画面下はいわゆるタイポグラフィとなっており、「HVGO」と読みます。これは落雷の中に刻まれている「HUGO」と同義で、いずれもユゴーの名を指しています。アルファベットの表記揺れが一般的であった時代には、このように一つの空間の中においても頻繁に表記揺れが起こりました。ちなみに宝飾品ブランドのブルガリに、度々この現象が見られます。(商号はBVLGARI,ウェブサイトはbulgariなど)。こういった所有者の名を示すアルファベットを知恵の輪のように繋いで表現するスタイルは、18世紀頃の書票に多く見られるようです。

おわりに

余談。近年、ノートルダム大聖堂が大火に遭い、焼失してしまった出来事が、大きくニュースで取り上げられました。我々日本人においても、フランスを象徴する建物の惨事に言葉を失った方がいらっしゃるかと存じます。大した慰みにならないかと存じますが、実はノートルダム大聖堂はフランス国内に8カ所存在します。あくまでも焼失したのは「パリのノートルダム大聖堂」であって、ノートルダム大聖堂の全てが失われた訳ではありません。私は他にル・ピュイの大聖堂しか見物したことがありませんが、その他の大聖堂も荘厳でピクチャレスクな外観を呈しているようです。私事で恐縮ですが、次回はルーアンの大聖堂に足を運んでみる予定でおりますます。それではメルシー、アビアント、ボンジュルネー!!!

おまけ

書斎蔵のNotre dame de Paris(1857年版)

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