Bonjour.
今回は以前にも何度か違う形で言及したトピックである、「蔵書票を貼り付ける理由、そして貼り付けない理由」に関しまして、別の切り口&もう少し具体例を挙げながら説明していきたいと思います。繰り返し何度もお話しする所以は、この現状を認知しないと私的には蔵書票の未来は暗いと考えているからです。それでは、本題に参りましょう。
※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。
まずは現代の蔵書票から。アルフォンス・イノウエ氏作の銅版画蔵書票です。ただし蔵書票と言っても素材やサイズから鑑みるに、貼り付ける想定がほぼ皆無であることは明らかです。最大の理由の一つは、使用されている紙。確かにハーネミューレは版画専用用紙として考案されましたが、それはあくまでも純粋な作品としての版画であって、蔵書票に関しては版画で作られていたとしても原則としてハーネミューレに印刷するということはありませんでした。理由は単純で、ハーネミューレ特有の厚みが本に貼り付ける用途として適していないからです。またサイズも歴史的な蔵書票に比べ大きめで、貼り付けられる本が必然的に限定されてしまうことが分かります。
19世紀後半頃作られたと推察される蔵書票。元々本に貼り付けられていたもので、個人がコレクションにしたいがため意図的に剥がされた票です。サイズは小さめ、かつ紙も薄めで、貼り付ける用途には適しています。確かに、初期(15~17世紀)の蔵書票でもA4サイズの巨大なものがあるにはありました。ただ昔の票主(蔵書票の所有者)は、自分の所有している本に合わせて数種類の大きさ、かつ、同じデザインの蔵書票を作らせていた歴史もあり、その点からも貼り付けて使用していたことが担保されるでしょう。
結局蔵書票が貼り付ける役目を失い始めた大きなきっかけは、デザインの多様化により蔵書票そのものの美術的価値が上がった一方で、貼り付ける本の美術的価値は劇的に下がったことが挙げられます。蔵書票を貼り付けるに相応しい本であって欲しいというのは、何も私だけの願いではないと思います😁 ただ装幀に拘った一冊というものは近年ほとんど出版されておらず、中々本と蔵書票が再びランデブーする機会を逸してしまっているというのが悲しい現実ですね😘
おわりに
今回は版画の蔵書票を中心に紹介しましたが、版画でなくとも蔵書票です。例えば、現在主流のデジタル印刷で作ったものであっても、紛れもなく蔵書票です! 貼り付ける本の価値が下がったとしても、蔵書票の作りを本の仕様に合わせて気軽なものにしさえすれば、本と蔵書票の関係は失われません😄 書斎でもそれに付随した活動を行っています。今月の展示でその一端をご紹介致しますので、今しばらくお待ちください💛💛
動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。
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