Bonjour
本の開きを左右する要素の一つに、「クータ」があります。クータは本の背表紙と本の中身の間に挿入することで、本の開きを良くするクラフト紙を指します。今回は、こちらのクータを熱で湾曲させる機械を紹介します。
実は既にクータを紹介している動画を、ジャーナルに投稿しております。→ホローバックとタイトバック
上記記事内の動画から切り出した画像です。本を開いた際、背中に穴が作られて本の開きが良くなる製本様式「ホローバック」について解説しています。このホローバックを製本するために必要な道具がクータです。写真では分かりませんが、実は青い線を引いた箇所、すなわち本の束ねた部分の裏側に、長方形のクラフト紙、すなわちクータが、本の背幅に合わせて貼り付けてあるのです。
で、今回紹介するこちらのクータは、帳簿専用。一般のクータと何が異なるかと言うと、単純に「厚み」です。基本的にクータは薄いクラフト紙を筒状に折って使用します。これは角背(背中が角張った本)だろうと丸背(背中が丸い本)だろうと一緒です。しかし伝統的な帳簿に使用するクータは(恐らく)丸背のみで、かつ、折り曲げられるような薄い紙ではないので、必然的に動画のような機械を使用し、本の丸みに合わせてクータを湾曲させる訳です。
祖父の代から使用している機械とのこと。こういった機械は全く需要が無いわけで、いざ買い替えようとしてもどこも販売していない、ということで結果的に使い続ける他無いのです。熱と圧力で平べったい厚紙を湾曲させるだけの機械なんて、誰も欲しくないですよね?笑 でもアナログ礼賛の私には、この武骨な重厚感が魅力的に映りました◎
おわりに
クータは、本の開きに多大な影響を及ぼします。クータのあるなしで、本の読みやすさ、書きやすですさは格段に変わります。帳簿のような実用本位の冊子には、クータを挿入する価値は十分にあります。ただ、堅牢性を重視するのであれば、背中はがっちり糊付けした方が吉とのことです。未来永劫残していきたいと願う一冊には、クータを挿入する選択肢はなるたけ避けた方が良さそうです。それではメルシー、アビアント、ボンジュルネー!!!
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