Bonjour.
蔵書票にしばらくの間関わっていると、自票という言葉といずれ出会うことになると思います。要は蔵書票のことを指して使う言葉なのですが、自という言葉から想像される通り、自分の票であることを示す際に自票が用いられます。例えば私が自分の名であるJunichi Ishikawaを入れた蔵書票を制作したとしたなら、それは私にとっての自票となります。今回は19世紀に作られた英国とフランスの画家の自票を紹介していきます。
※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。
ルイス・ルヘッド(ルイス・リードとも)はイギリス生まれでのちにアメリカで活躍したイラストレーターで、主にハーパーズ・マガジンやセンチュリー・マガジンなどの文芸誌の表紙絵などを描いて活躍しました。また釣りを趣味にしていたようで、それもあってこういった釣りを主題とした蔵書票を制作したのだと思います。こちらにも動画で紹介した蔵書票が添付されています。
ちなみにEX LIBRIS(エクス・リブリス)を蔵書票を示す言葉と言及していますが、この言葉の本来の意味は本がどこに帰属しているかを示すラテン語で、蔵書票に限らずペンで直接本に名前を書きつけたとしてもエクス・リブリスとして成立します。詳しくは、こちらのトピックをご覧ください。
あのマネが蔵書票を作っているとは思いもよらず。。と思ったら、作ったのはマネ本人ではないようで、マネと同時期に活動したフランス画家フェリックス・ブラックモンによるものらしいです。ブラックモンはマネと友人関係にあったらしく、その後に始まった印象派展にも複製版画で参加しました。マネの像の真ん中にパレットが描かれていることで、票主が画家であることを分かりやすく示しています。という訳でこちらはマネが自分で作った蔵書票ではありませんでしたが、マネ本人からしたら自票となります。
ちなみにこちらのアルバムには以前紹介した作家ヴィクトール・ユーゴ―やルイ15世の愛妾であったデュ・バリー夫人の蔵書票も入っています。さらに質量保存の法則で名高いラボアジエの蔵書票まで入っていますが、これはオリジナルではなくレプリカのようです。
少なくとも現在は、自分の本に貼り付ける目的のみで蔵書票を作っている作家はいないはずです。あくまでも展示販売の前提で制作し、そのうち何枚かを自分用に保存しておいて貼り付ける方はいらっしゃるかもしれませんが、それすらもかなり稀なケースと考えられます。今回紹介したルヘッドやマネの時代辺りから蔵書票の本来の役割が変遷してまいりまして、本に貼り付けるよりもその美術的価値の方に重点が置かれるようになって、収集の対象となり始めたことが大きく関係しています。
おわりに
蔵書票を作家に注文すると、50枚セットで最低5万~10万くらいはかかります。もちろんお気に入りの蔵書票作家さんがいれば、制作を依頼して自票を作ってもらうのも良いでしょう。ただしも特別なこだわりが無いのであれば、自票を自作することも可能です。蔵書票には技法の制約や特別なルールがほとんどありません。手書きで適当なデザインをこしらえて最後に自分の名前を書き入れても、十分蔵書票として通用します。あなたもオリジナルの蔵書票を自分の手で産みだしてみませんか??😁
動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。
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