超豪華・恩田製本所謹製の手帳 その装幀に関して 製本

Bonjour.

以前に江東区で活動されている恩田製本所謹製のノートブックを紹介しましたが、今回は新たに試作頂いた「手帳」、ダイアリーですね、こちらの装幀について簡単に解説してまいります。物質としての魅力が存分に感じられる一冊となっています。てか最早豪華本の類に分類しても遜色ないですね😂

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

本を差し込んでいる箱は全て、ボール紙(2ミリの厚紙)の上から各種色紙を貼り付けて製作しています。装幀のスタイルは、コーネル(corner)またはハーフバインディング(half binding)と呼称されますが、もしかするとコーネルは日本独自の呼び名かも(ごめんなさい自信ないです。。) 本の背中の部分に革が使用されており、これが背中部分のみだとクオーターバインディング(quarter binding)に分類される場合もあります。

また、熱したコテにより金箔を置いた箇所を押し込むことで、金色の凹凸を作る技術が箔押し(gold tooling)です。箔押しを行う職人は金箔師(doreur)と呼ばれ、製本とは別個の技術として現在も分業化されています。

マーブリングとは、トルコ由来とされる紙を装飾する技術です。恩田さんが実際にマーブリングを行っている動画はこちら。17~19世紀頃、本の天・地・小口の三方にマーブリングを施すことが西洋で流行しました。それ以前はベンガラ?のような、植物由来と思われる染料を三方に施していました。

本文に使用している紙は、フールス。漂白加工を行っていない紙を中質紙と呼ぶらしく、よくよく見ると紙色が若干黄色がかっているのが分かります。加工を行っていない分、中質紙の方が紙としての耐久性には優れているそうです。日付入れる箇所と罫線だけの非常にシンプルなレイアウトですが、2年分書ける手帳って中々ないと思います。

こちらは先ほどのものとは異なり、表紙全体が革で包まれている総革装幀(all leather ,full calf)となります。18世紀以前に装幀された本のほとんどは、総革の仕様になっています。使用する革はヤギ、牛、子牛が大半ですが、現代ではトカゲ、ヘビなどを装幀に用いる作家さんもいらっしゃいます。

バンドは本の背中の隆起した箇所を指し、本の表紙と中身を糸で繋げる際に重要な役割を果たしました。時代が下るほどバンドが細くなっていくのは、恐らく本の重量と関係しているのではないかと思います。(詳細は長くなるのでここでは割愛します

水面を揺らし、そこに現れた一瞬の波紋を写し取る技法がウェーブです。恐るべきまさに職人の技術😲。最後の豚革は16世紀以前に頻繁に用いられていた革でしたが、他の革と比べ毛穴が目立つためか、徐々に製本界の市民権をはく奪されました😥

おわりに

目下、私のこれまでの活動をまとめた本を出版予定でして、その際表紙は豚革を採用する見込みです。豚革って確かに毛穴が目立って場合によっては汚らしく見えるかもしれないんですが、毛穴それ自体が自然な模様のようになっているのと、凹凸がしっかりあって手に馴染む感覚が絶妙で、確固たるアイデンティティを持っているんですよね~。とにもかくにも、前代未聞の一冊が誕生予定です😂

 

 

動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。

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