Bonjour.
蔵書票関連の書籍では必ずといって良いほど紹介される「ハリネズミ蔵書票」について、私もそろそろ言及してみようかなと思った今日この頃。ちなみに、この世界では割とメジャーなトピックです。何の後学にもならんようなマニアックな記事ばっか挙げとらんでハリネズミさっさと紹介しとけよ!といった声が、有識者から飛んできそうな気がしないでもありませんが、このジャーナルに一貫性という言葉は最初から存在しておりませんので、その辺大目に見て頂けますと幸いでーす😁
※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。
こちらが現状最古と言われているハリネズミ蔵書票。てか、ほぼ最古と言って差し支えないと考えています。動画でも言及している通り、中世のヨーロッパで版画の技術が利用され始めたのは14世紀後半と言われており、そこから一般化したのは銅版画が誕生した約100年後のことです。それ以前は、版画によって一つの作品を量産するといった概念が存在せず、一枚絵としてテンペラなどで描かれているのが当たり前でした。したがって、こちらのハリネズミが作られたとされる1450年代から考えると、まだそれほど版画が流通していない時代 = 版画による量産が一般的だった蔵書票が作られる土壌に乏しかった、と考えられるので、結果として半ば必然的に最古級の蔵書票と推断されるのです😁
一見可愛らしいデザインの蔵書票でも、そこに書いてある文言はあまり穏やかとは言えません😨 まぁ実際にハリネズミにキスをされる訳ではないのですが、昔の人々は我々現代人が想像するよりも遥かに信心深かったり、迷信を真実と捉える傾向にあったようで、こんな子供だましの言葉でも恐れをなして窃盗をためらう人もいたのでしょう。呪いの言葉の極め付きなのだと「この本を盗んだものを死に至らしめんことを、車輪に轢かれしことを、フライパンで調理されんことを、病魔に苦しめられんことを」てのもあったりします。これだと三回くらい死ななきゃダメそうですね🤣 古い時代の本ほど呪いの言葉の調子が激しいように思います。
カンティング(Canting)は掛詞みたいなのもので、今回の場合ですとIgler(蔵書票の持ち主の名前)とIgel(ハリネズミ)が掛かっていると言われています。カンティングは言葉遊びの一種で、古くから様々な人物が自らの紋章に採用していました。最も知られているところですと、かのシェイクスピアによるカンティングを使用した紋章でしょうね!足掛け20年でようやく取得したとされる渾身?の紋章に描かれた言葉遊びは、さすが不世出の劇作家だなぁと頷けるほどのウィットに富んでいますよ😍
おわりに
てなわけで、次回は蔵書票の番外編として、シェイクスピアのカンティング紋章を紹介しま~す😁カンティングが分かりやすく集約された紋章なので、説明する際にも最適なのです◎ ちなみに彼の家系は、本来であれば紋章を取得する地位に無かったのですが、彼の親父が紋章欲しさに奔走したことと、それを継いだシェイクスピアが著名な劇作家として社会を席捲したことが、取得に関し大いに影響していると考えています。今でも彼と紋章院(紋章を管理する機関)の間での、紋章のデザインのやり取りが分かる資料が残っています。親父が紋章院に提出したものは見つかったので参考までに添付しておきます。左上に見える二種の紋章下書きがそれです😄😄 採用されたのは上のやつ! それではアビアント💛
動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。
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