ゲテ本装幀1 造本小僧浮世戯書 青園荘刊行

Bonjour.

「ゲテ本」という単語を聞いたことがありますか?恐らく、百人に一人も知らないであろうと、容易に推測されます。下手本というのは、分かりやすく言えば、「一般的な装幀の様式から逸脱した、実用性に乏しい本」を大まかに指す言葉として、恐らく昭和初期頃より一部の愛書家達が使用し始めた造語です。ただし明確な定義がある訳では無いので、どの本がゲテ本に相当するかは、個々人の判断に委ねられる部分が多いです。今回は、個人的にゲテの要素を大いに含むと見なしている、珍しい一冊を紹介します。

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

著者は、装幀(造本)家である内藤政勝氏。内藤氏の来歴については、実は私も余り情報を持ってはおりません。昭和を中心に、特定の作家の限定本の装幀を手掛けてきたそうです。とりあえず、同じ限定本のみの個人出版であった「水曜荘」の造本は、その殆どが内藤によるものでした。青園荘は、彼が半ば趣味で始めた個人出版の屋号で、こちらの造本小僧浮世戯書は彼の第二随筆集として、100部限定で刊行されました。装幀は内藤政勝自身で行ったとされていますが、一人でこの本を100部作るのは大変な労力を要するので、誰かアシスタント的な人物が控えていたかもしれませんね。

ボール紙のかぶせ箱の中には、帙(ちつ)と呼ばれる、包むタイプの箱が用意されており、いわゆる入れ子のような状態になっています。(業界だと二重箱と呼称する)臙脂色の部分はテクスチャー感の強いザラザラとした和紙で、白地にドットの部分は平織りの布地を使用しています。本の中央にはアルミ板がはめ込まれており、裸婦がアンニュイそうに横たわる様をプレスした、一見モダンでバランスの良い装幀に見受けられます。ここまでは、ゲテ本のゲの字も見受けられないのですが。。

まさかのシガレット🚬これには思いがけず爆笑してしまいました。タバコがはさまっているお陰で恐ろしく読みづらく、私の場合は一旦外してから読了しました◎下手をすると六十年以上前に作られた煙の味がいかほどか、試してみたい気分に駆られはしたものの、このままの状態で保管しておくことの面白さを優先して、ひとまず却下しました。物事の実際は蓋を開けてみるまで分からないというのは、本にも言えることなんですね!(言えねーよ)

おわりに

故人に失礼ですが、この本を開いた際、「内藤馬鹿だなぁ~」と心より思った自分がいました笑 無論、蔑視や冷笑的な意味合いで言っている訳では無いです◎個人の責任の下にやりたい放題出来るのが、個人出版の最大の妙味ではないでしょうか?ちなみに私自身も、近日馬鹿げた装幀の出版物を上梓する予定です。内藤には完敗だけど笑 それではメルシー、アビアント、ボンジュルネー!!!

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