聖職者の蔵書票1 司教編

Bonjour.

神に仕える者たち、すなわち「聖職者」も蔵書票を制作することがありました。古くは貴族を中心に、そして19世紀以降は多くの平民も蔵書票を所有し始めましたが、それと並行して聖職者達の中にも蔵書票を求める者があったそうです。聖職者の蔵書票には、それとはっきり分かる特徴が、デザインから見て取れます。

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

司教は聖職者の最上位と説明していますが、実際には司教たちの中から教皇が選ぶ「枢機卿」が、更なる高い地位と言えるかもしれません。枢機卿は、名誉職のような側面を持っているのかもしれませんね。服装も、司教とさほど変わらないように見受けられます。プロテスタント、正教会など、宗派によっても、微妙に基準や名称が異なるはずです。

裏側に剥がし跡が残っていることから、元は本に貼り付けれていたことが伺えます。聖職者の蔵書票と分かるポイントの一つ目が、紋章の上に配置されている奇妙な帽子。これは「司教冠」と言われるもので、司教が典礼など公式の行事の際に被る帽子です。ここからまず、司教が作らせた蔵書票である可能性が高いことが推測されます。

次に注目に値する点は、蔵書票の最上部にあるスクロール(巻物)の中に見える文字。「MONASTERIVM S.PAVRI IN CARINTHIA」と書かれており、私の危ういラテン語によると、こちらは「カリンティア(カランティア)地方のパウリ修道院」と解釈されます。MONASTERIVMが、英語のMONESTRYに該当する単語であることは間違いありませんね。それと、動画では言及しなかったのですが、こちらの票主(蔵書票の所有者)は、恐らく下のスクロールに見える、「HIERONIVS ABBAS」です。こちらは、「ヒエロニムス大修道院長」と訳出されます。という訳で、こちらの蔵書票は、「カリンティア地方にあるパウリ修道院長、ヒエロニムス」のものであると考えられます。

おわりに

今回のように、蔵書票の調査をしていると、否が応でもラテン語と向き合わなくてはならない場面に遭遇します。辞書を紐解きつつ、何とかしのいではいるものの、正確性に乏しい部分は多分にあると思いますので、ラテン語に通暁している方で私の解釈に問題がありそうな部分を発見されたならば、お気軽に指摘頂けますと幸いです。(語学嫌いなんだよ・・・)次も聖職者関連のトピックです。よろぴく。

興味がございましたら、youtubeのチャンネル登録にご協力頂けますと幸いです。動画の全編は下記となります。ご参考までに。

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