西洋の写本 その2 留め具の役割と革のページ? 羊皮紙の歴史

Bonjour.

前回紹介しました馬鹿でかい本ですが、構造面の説明が不十分でしたので、今回も引き続き前回紹介しきれていない部分に関しまして話を進めてまいります😊 それと今回は外側の表紙だけでなく内部の構造にも言及しましたので宜しくお願いします<(_ _)>

 

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

 

 

本来は最初にお話すべき内容でしたが、すっかり忘れていました😂 動画で言及の通り、この本が作られた時期が16世紀以前であることはほぼ確定しています。というより表紙の四隅にある真鍮の装飾は中世以来の本の装幀様式の一つで、しかもこの様式は活版印刷が始まった15世紀以降ほとんど見られなくなりましたので、実際にはさらに古い可能性が高いです。ただし表紙と中身の時代が異なる可能性が現在指摘されていまして、その辺りは次回の動画にて解説したいと思っています。

 

 

このように表紙と表紙を渡すような留め具が付いている仕様も、現在の本では滅多に見ることは出来ません🙄 膨大なテキストが残されている聖書を本に仕立てることが多かった関係で、必然的に本が分厚くなりやすく、湿気や本に使用する素材の経年変化などで少しずつ本が開いてきてしまうのを防ぐ役割があったと考えられます。現在出版されている本でも開いたり閉じたりを続けていると、少しずつ本が開き始めて綺麗に閉じなくなったりしますが、当時の本の価値は万金にも値するものでしたので、何としても良い状態を維持したかったのだと思います。

 

 

さて、いよいよ内部に突入しました。状態としては、今まで紹介してきた表紙と、本のページを構成する部分とが完全に分離して見事に壊れています笑🙄 まぁ笑いごとではないのですが、こういった壊れた本の利点というのは昔の本がどのように作られていたのか? を知る上で非常に有難い側面もあって、一概に悲観的に捉えがたい部分もあるんです。確かにちゃんと製本されている本をバラせば調べることは可能なのですが、じゃあ今回の本にもそれが適用できるかと言われたら絶対に躊躇するというより全力で拒絶します😂 私の主たる研究はあくまでも蔵書票ですので!💓

 

 

羊皮紙!!私が以前紹介した羊皮紙の文書についてはこちら

すごーく大雑把に言うと、紙を製造する文化が現在のヨーロッパに伝わり始めたのが12世紀頃らしく、アフリカのモロッコからジブラルタル海峡を通過してスペインから入ったのがきっかけとされています(とYoutubeで東大の製紙文化の研究者が言ってました笑)。ただそこからすぐに革から紙に切り替わった訳では無いようで、実際には1455年にグーテンベルクが考案したと伝えられる活版印刷機が本格的に運用されるようになってから、紙の本が急ピッチで作られるようになり始めたというのが通説です。ということで西洋では約1500年もの間、紙よりもこういった革の本ばっかり作られていたということになります😱 羊皮紙をご存じなかった方には衝撃的かもしれませんが、本が今のように一般に流通するようなものでなかった事実を考えれば、何も驚くにはあたりません😁

 

おわりに

 

羊皮紙について語り始めると間違いなく収拾がつかなくなるので笑、この辺でいったんお開きとします◎ 実際、十五世紀以前に紙で作られた本や文書も残っているのですが、じゃあ聖書に関わる本は特に貴重なので原則として革で作って、そうでない例えば大福帳(死後か笑)みたいな帳簿やちょっとしたメモみたいなものは紙だったのかと聞かれれば、一概にそうとは限らないと個人的には考えています。昔の紙、いわゆる洋紙も製造までに途轍もない労力を要していたはずなので、製紙技術の未熟さが紙から革に切り替わるのに二の足を踏む要因の一つになったんじゃないかなと推測しています。何か情報をつかんでいらっしゃる方は、是非ご連絡下さいね~一緒に高めあっていきましょう!😁😁😁

追記:意外な事実かもしれませんが、かのエジプトで産まれた書写の道具であるパピルスも中世のヨーロッパで使用されていたそうです、とYoutubeで東大の製紙文化の研究者が言ってました笑😆

 

動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。

LE PETIT PARISIEN

(恐らく)日本で唯一の活動をしています。

Recent Posts

This website uses cookies.