Bonjour.

歴史的に、蔵書票は個人向けに作られてきました。一般的には蔵書票を作ってもらいたい人が制作を請け負っている作家に依頼して作ってもらう流れですので、当然といえば当然です。一方で、特定の個人ではなく老若男女問わず誰でも使える蔵書票も作られました。「一般的な」や「普遍的な」の意味を持っているユニバーサルを頭につけてユニバーサル・エクスリブリスとドイツ刊行の蔵書票専門書では解説されています。

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

 

 

こちらの蔵書票は1498年に作られた最古級の蔵書票の一つで、木版画で作られています(動画のものは複製)。ただ真ん中の盾(本来は紋章が入る箇所)の部分は当初空白になってまして、後にでユリのマークと持ち主の名前が手書きで加えられました。これはこちらの蔵書票が特定の個人のために作られたものではなく、誰でも使うことが可能な汎用性の高いものであったことを示唆しています。したがって石川だろうが田中だろうが吉田だろうが、誰でも自分の名前を書き込んで本に貼り付ければ蔵書票として成立します。

 

 

このように名前を書き入れる空白をあらかじめ設けている蔵書票は、海外ではそう珍しくはありません。感度の高い?本屋などでは書斎と同様店頭などで販売しています。こういった汎用性の高い蔵書票のほとんどは不特定多数の利用を想定しているので、現代の印刷技術で大量発行されているものが多く価格も安価なので、本に貼り付けて使用する体験が気軽に出来るのが最大のメリットです😁

 

 

先ほどご覧になった蔵書票を直接ページに刷り込んだものがこちらです。フランスの出版社であるジャン・ド・ボノは、現在も装飾性の高い豪華本を沢山世に送り出している稀有なカンパニーで、主にはスタンダールやゾラなどの著名な作家の名作に手の込んだ装幀を施して販売しています。蔵書票にまで目が行き届くところは、流石!とつい言いたくなりますね😃 参考までにウェブサイト

 

 

蔵書票ではスタンダードなスタイルの紋章型でも、時折ユニバーサル的な要素を持つことがあります。こちらのように手書きで名前が記載されており、かつ長男が父親の紋章を継承した場合で、かつ父親の名と息子の名が同じである限りにおいて、父親の蔵書票を息子がそのまま使用できる可能性があるので、これも広義のユニバーサル・エクスリブリスと言えなくはないかもしれません。基本的には長男が父親の名前と同じくなることが多いように思いますが、詳しい命名ルールは知りません😂 ただヨーロッパは宗教観から聖人や天使の名前を性に使用する習慣があるので、日本と違い必然的に同じ名前になる可能性が高くなるのです。

 

おわりに

 

余談ですが、以前に書斎にいらしたお客様から三省堂?かどこかで販売されていたユニバーサル・エクスリブリスを頂戴しました。裏面がシールになっており、いちいちノリを使用せずとも容易に貼り付けられる点は評価に値すると思った反面、蔵書票の素材がつるっつるのコート紙だったので水性ペンでは糞ほども名前が書き入れられないという罠に陥れられました😂 ふざけんな💓って心から感じましたね笑😂 皆さんも自分で蔵書票を作る際は使用する紙にも注意しましょうね💓

 

動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。

LE PETIT PARISIEN

(恐らく)日本で唯一の活動をしています。

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