今更だけど「装幀」って何? ブックデザインとの差異

Bonjour.

これまで装幀、装幀と散々喚いてきました。本の内容や構造問わず、多様な切り口にて装幀の妙味をお伝えしてきたつもりです。じゃあ「装幀」という言葉それ自体を知らない方がいるとしたなら、私のジャーナルは果たして役に立つのか? と自分で問題提起しているくらいなので、答えはもう出ているようなものですね、はい、糞ほどの役にも立ちません😂😂😂 という訳で今更も今更なんですけど、改めて「そもそも装幀って一体何やねん!?」をテーマにちょいと動画をまとめてみましたよん。

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

まずは当世風?の装幀から。皆さんお馴染みのダストジャケット(ダストジャケットをご存じない方はこちら)にソフトカバーの一般的な造本様式です。この際の装幀とはダストジャケットのデザインを考えたり、内部のレイアウト調整やフォントを選定する、すなわち本にまつわる構成全体を検討する作業を指しています。現在では装幀よりもブックデザインの名称の方が、人口に膾炙しているように思います。ちなみに動画内で言及している私の持っている本は、宇野亜喜良装幀「絵本千夜一夜物語」寺山修司著です。

一方でこちらは古典的な西洋式の装幀。表紙の固いハードカバーで作られています。おそらく牛革で、一般に総革装(表紙の全体を革で包んだ様式)と呼ばれるものです。この総革のハードカバーを本の表紙にする行為が、その昔は装幀として定義されていました。先ほど申し上げたレイアウトを含めた本全体の構成を行う装幀とは異なり、あくまでも表紙の部分だけに特化した装幀です。

最後に両社の比較。二つの決定的な違いの一つが、まず装幀が出版される前か後かいずれかに行われるかという点。左はご存じの通り、動画で映されているいる形そのままで出版・販売されたものです。この場合、装幀の作業は出版するに行われていることが分かります。他方、右は出版されたに装幀の作業が行われています。要は、印刷と装幀が完全に分業化された時代があったということを示しています。

現在は印刷・装幀共に出版社が一元管理して本が世に送り出されていますが、その昔西洋では印刷は出版社側で、装幀は特定の工房で管理していました。なので、本屋で販売されている時点では原則として装幀されていない状態ということです。今回のもので言うと、革の表紙がついていない仮綴じ(ソフトカバーの簡易製本)で販売されていました。装幀は、本を購入した側で特定の工房に依頼して作らせていたという訳です。俗にいうオーダーメイドです。びっくり!🙄(あれ?笑)

おわりに

そんな訳で、日本では考えもつかないような出版文化が西洋にはあったのでした。でもそんな文化も、今では現地の人達ですら認知していないように思います。事実、装幀のオーダーメイドを依頼できる工房自体が、メッカであるフランスでさえほぼほぼ絶えてしまっているようです。まぁ完全に消滅までにはまだいくばくか猶予があるような気がしないでもないのですが、継承が無くなればいずれはそうなるでしょうね。私は出来る限りのことをやるだけです。以上!

動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。

LE PETIT PARISIEN

(恐らく)日本で唯一の活動をしています。

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