珍しい発禁本「二人の異端者」 大正時代の小説

Bonjour.

「発禁本」と聞いてどんなイメージが沸きますか?世の中に出てはならない禁断の書?そういった本のジャンルがあるの?など色々と疑問が膨らむと思います。ちょっと大げさですが、発禁の歴史を知ることは日本の出版文化を知ることにも繋がります。それくらい戦前の出版物と発禁処分には深い関係がありました。今回は非常に珍しい形で残った発禁本について紹介します。

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

検閲とは、国にとって都合が悪かったり過剰に性的な表現で記された文章など修正させる作業で、場合によっては回収処分となり罰金刑を食らうケースもあったようです。当時発禁となりやすかったジャンルは、エログロナンセンスと呼ばれる昭和初期に一部でもてはやされたサブカルチャーや、左翼思想に傾倒した出版物でした。検閲の基準はかなり曖昧で、明らかに出版差し止めになりそうな内容が見過ごされる一方で、それほど槍玉に挙げるほどではない部分が修正指示されることもありました。

戦後まもなく検閲制度は廃止されました。

其の筋=恐らく警視庁から修正を命令されたと考えられる内容が、赤字で記されています。修正の指示も様々で、今回のように4ページ分まるまる削除ということもあれば、1ページの中の一部の表現のみ修正削除が通達される場合もよくありました。足立欽一は出版社聚芳閣の代表で、作家としての一面もあったようです。(小説は読んだことありません) 一時愛人関係にあった作家の山田順子は、竹久夢二の愛人でもありました。そういった経緯からか、聚芳閣より出版された山田順子の著書は、夢二が装幀を担当しています。

先ほども申し上げたように、発禁か否かの決め手は結構杜撰なのですが、ある一定の方向性は定められていて、今回の部分ですと大抵の場合発禁を食らうと思われます。直接的に「セックス」という言葉を使用したなら即発禁ものですが、そうでなくともそれが明瞭に把握出来てしまう表現には検閲が厳しく作用しました。そんな表現ぐらいで公序良俗なんか乱れんだろ!?と、現代人からすれば極めてナンセンスな制度が検閲なのです。

おわりに

こちらが実際に削除された状態の本です。(国立国会図書館蔵) 115~118ページまでが「欠」と表示され、しっかりと検閲を受けているのが分かります。ちなみに削除される前にも一冊納本しており、結果として国会図書館には削除版と無削除版の二冊が存在しています。恐らくこんな流れかと思います。

内務省に納本→警視庁での検閲の結果、削除命令を出版社に通達→警視庁から国会図書館に無削除版納本→出版社にて所定のページを削除後、再度内務省に納本→検閲が通り、無事出版→警視庁から国会図書館に削除版納本

今回はここまで!アビアント~♡

動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。

LE PETIT PARISIEN

(恐らく)日本で唯一の活動をしています。

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