Bonjour.
Will Bradleyウィル・ブラッドリーなる人物の名前を聞いたことがありますか?もしご存じであるとしたなら、只者ではありませんね笑 恐らくこのジャーナルをご覧になっている奇特な方々の中でも、知っている方は少ないと思われます。
ブラッドリーは、19世紀後半から20世紀半ばにかけて活躍した、アメリカ出身のグラフィックデザイナー・イラストレーターです。アール・ヌーヴォーの流れを受けた、流麗でありながら愛らしさのイラストが特徴の画家です。世界的には割と評価されている気がするのですが、何故か日本ではまるで取り上げられない不遇の人なので、専門家でもない一ファンの私が半ば適当に紹介致しました。そんな訳で、動画の内容は頗る薄っぺらいです笑 ご承知おきください。
※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。
ブラッドリーは、イラストレーターとしての絶頂期であった1896年に「Wayside Press」を立ち上げます。これは日本でいうところの自費出版のようなものだったようですが、出版にあたり支援者が数人いたそうです。ここから世に送り出したのシリーズが、「Bradley , His book」です。装幀、記事、イラスト、構成など、本に関わる要素のほとんどにブラッドリーが携わり、タイトル通りまさに「俺の本」を体現したシリーズと言えるでしょう。このシリーズは大きな成功をおさめ、ブラッドリーは更に評価を高めて経済的にも潤った一方で、余りの多忙に体を壊して、結局His Bookは長く続くことはありませでした。
まさにアール・ヌーヴォー的なタッチと言えるものかと思います。特に、当時のブラッドリーを象徴するイラストレーションの一つである、自転車の宣伝広告は秀逸です。遠近感などもしっかりと意識されており、単なる広告デザインにとどまらない、一つの絵画作品と見なせるのではないかと私は考えています。事実ブラッドリー自身も、応用美術、すなわち日常にあふれているものを美術的なものに昇華させようといった信念を強くもっていたそうです。要はそれまで商業美術に過ぎなかった広告を、純粋美術の領域に高めたかったということです。ただ、その応用美術の祖ともいえるウイリアム・モリスからは、酷評されていたみたいですけどね笑 ちなみにモリスは、あのビアズリーにも滅茶苦茶かみついてましたね。若手の台頭に恐恐としてたのかな笑
ブラッドリーには、挿絵画家としての側面もあります。最初に紹介したHis Book同様中々得難いので一冊しか所有してないのですが、この一冊で彼のハイセンスが堪能出来るのでとりあえず満足しています笑 今時こんな本を作ろうと出版社に投げかけたら、三秒で却下されるでしょうね、ページの無駄遣いとか一蹴されて笑 それと動画ですと中々分かりづらいのですが、この本はページの紙が非常にぶ厚くなっています。その辺りも、彼のこだわりなのかも知れませんね。
最後に紙の話をしましたが、実はこの時代は酸性紙が主流だったために、時代の経過により紙質が非常に劣化しており、図書保存の観点からも国外では大きな問題となっています。His Bookもまさにその影響を受けており、ページによっては触るだけでぽろぽろと紙が崩れ落ちる始末です。ま、無常の世界観を持った日本で産まれた御かげで、それはそれとして止む無しかなと割と前向きに捉えているですけどね!そんな訳で、もっとブラッドリーバズれ!以上です。
動画の全編は下記となります。ついでにチャンネル登録もらえたら嬉ちーなと思うこの頃です。
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