Bonojour.

物事はいくら掘り下げていっても終点とは凡そ無縁で、むしろ掘り下げた先から無数の穴が広がって収拾がつかなくなることの方が多いものです。 と、無益な御託を並べていても仕様が無いのですが、今回の蔵書票?については、ついそういった思いを抱かざるを得ない要素を多く孕んでいます。

言葉尻がどことなくアカデミックに聞こえたなら、申し訳ありません。原則こちらのジャーナルは、蔵書票と装幀にまつわる動画を切り取って、雑文にて補足したものとなります。ただし、今回紹介するものを、私は蔵書票ではないと睨んでいます。じゃあ何なのと言われたら、「不明」です。そんなもん紹介するんじゃねーよといった野次はごもっとも。それでも、紹介してみる価値がある一枚と思った次第でござい。宜しくご承知おき下さいますよう。

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

冒頭に蔵書票?と記したのは、こういうことです。日本橋の丸善にワールドアンティークブックストアという、丸善の中でも特殊なエリアがありまして、そこで蔵書票を漁っていた時に見つけたものが今回の一枚です。一応丸善サイドとしては、蔵書票として販売していました。しかしながら、EX MERCEなどという文言は、これまで私が見てきた蔵書票の中でも全く目にした記憶が無かったのと、原則個人もしくは特定の団体に帰属する証明である本来の用途が補完されるポイントが見つからなかった結果、「えっこれって、蔵書票じゃねーんじゃねーの?」となった訳です。

動画ではEX MERCE PULCHRIORを「美しき商品」と訳していますが、ラテン語は一つの単語に対して与えられている意味が多彩なので、他に「見事な商品」「素晴らしい報酬」などとも訳出できそうな気がします←ちげーよ!て思ったら指摘してね!♡

下のスクロールの中にあるSigiliumにも、印、痕跡、画像、人形など、様々な意がありますが、蔵書票との関連性を考慮した際には、印や印章などが最もふさわしい訳になりそうです。その後のConsulisは、普通に?高校の世界史を学んだ方であればご存じであろう、コンスル、すなわち、執政官を一般に意味する単語です。一時期、古代ローマの最高権力者でしたね。ただし、ここで執政官としてしまうと、この票は少なくとも1500年以上前のものでなければならなくなるので、紙が流通していなかった当時のヨーロッパ社会のことを考えると、まずもってあり得ない話になります。

商務官って何ぞや?と思って調べてみたら、そういった職務もちゃんとあるんですね。。失礼しました。ただもしかすると商務官よりも領事の方が近いかもしれないと、この記事を書きながら思い始めています。よくよく考えてみると、コンスルって英語だと領事という意味をもっているんですよね。となると、外国に出向いて何か通商を行っている人物が職務内で使用した票?とも取れますね。

それと、Consilisに続くConsiliariorumは「助言者」といった意味があります。最後のBulianensiumは、です。どこか特定の地域を指すのではないかと推測しています。仮に個人名であったとしても、性か名のいずれかしか記名されていないことになります。そうなると、蔵書票としては役に立ちませんので、その可能性は低くなります。

おわりに

何だかとんでもなくマーニアックなトピックになってしまいました。。(いつもか?)更に調査を進めたところ、1729年にドイツで出版された本がヒットしまして、そこに(恐らく)この票への言及がありました。それによると中央の絵柄は、「世界には定められた国境があるが、物理的な国境は存在しない」→「世界は一つである」といった意味が込められているようです。真ん中の球体は、地球を表していると思われます。それとこの票は、物品に貼り付けて何かを告知する、通商関係で使用するものであったと(恐らく)書かれています。いずれにしても、いわゆる一般に蔵書票と呼ばれるものではない!とこれである程度明らかになりましたね♡ちゃんちゃん。

興味がございましたら、youtubeのチャンネル登録にご協力頂けますと幸いです。動画の全編は下記となります。ご参考までに。

LE PETIT PARISIEN

(恐らく)日本で唯一の活動をしています。

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