Bonjour.
グーテンベルクが考案した活版印刷機は、ブドウの搾りかす機を応用した技術とされています。とは言っても特別精巧な機械ではなく、最初は単にインクを塗布した金属活字に紙を乗せた状態で、上から圧をかけて印刷する、原始的な道具に毛が生えたような技術に過ぎませんでした。後の技術の発展により、大量印刷が可能な活版印刷機が多く作られたものの、それに代わる利便性の高い印刷技法が開発された影響を受け、現在ではほぼ稼働しているものはありません。ところが最近になって、現役で動作している活版印刷所が、私が書斎を運営しているここ墨田区にてあることが判明し、都合よく案内して頂きました。
※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。
お邪魔した先は、墨田区で営業されている㈱東海印刷さん。まさに鉄の塊!とにかく馬鹿でかいといった印象でした。こちらの印刷機は、世界最大の印刷機メーカーとして名高い、ドイツのハイデルベルグ社のものです。60年近く前の機械だそうで、そうとは思えないほど堅牢な様子で稼働しているのが、動画からもお分かりになられるかと思います。正真正銘の活版印刷機ではありますが、従来通り活字を組んで印刷しているのではなく、樹脂版という特殊な版に、印刷する文字や図形をトレースしてそれを出力しています。活字よりも利便性が高い上に、活字のような凹みを再現出来る一石二鳥の技術です。ただ厳密には、活字の方が印圧が強く出るので、力強い表現を求める際には、そちらを選択した方が適切なようです。
こちらは、さくら印刷?製の国産活版印刷機です。(機械の全容が分かりづらく申し訳ないです) 国産の印刷機とハイデルベルグを比べると、耐久性の点では圧倒的に後者に軍配が上がるようです。現在稼働している国内の活版印刷がハイデルベルグのものである事実を考慮すると、決して大げさではないのでしょう。日本の印刷機の利点は、「和紙の印刷に適している」ことのようです。国外の活版機で和紙を刷ろうとすると、確か印圧が強すぎて不具合が起こるようなことをおっしゃっていたように記憶しているのですが、その辺り曖昧なのでもう一度確認してみる予定です。とにかく、国内製とそうでない活版印刷機それぞれに特徴があるので、用途に合わせて使い分けているということでした!以上
実は、来年度出版予定である、私(LE PETIT PARSIEN)のこれまでの活動をまとめた一冊を、こちらの東海印刷に急遽お願いしようかと画策中です(まだ何も先方に伝えてないんだけどね。。)。冒頭でお話したように、小物における活版文化は未だ息づいているどころか、ちょっとした懐古ムーブメントになっていたりします。一方で、本の印刷における活版は、滅多に見る機会がありません。それどころか、全ページ活版というのは、私でさえ近年目の当たりにした試しがありません。そんな訳で、とんでもない一冊が世に送り出されるかもしれません。いや、というより、送り出してやる!ではAu revoir , A bientot , Bonne journee , Chao!!!
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