マーブリングの技術 職場訪問その4 (有)オピック 恩田則保さん

Bonjour.

以前のトピックで、装幀におけるマーブリングに関して説明を加えました。しかしながらそちらで言及した通り、私の拙い口上では到底動画をご覧下さっている皆様の理解を得ることが難しいのは明らかでした。従いまして、事前に記録してあった職人(恩田さん)によるマーブリングの実演の様子が、その助けになるかと期待し、今回のトピックに据えた次第です。私の撮影ミスにより作業が中途より始まっておりますが、何卒ご了承頂ければ幸いです。

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。


マーブリングを始める前に、まず水をアラビアゴムと混ぜた水溶液を作ります。アラビアゴムには、物質を固着させる成分が含まれており、マーブリングを行う際に模様を安定させる効果があります。この事前の作業が大変らしく、前日から準備しないと間に合わないそうです汗 絵具はアクリルを使用していますが、水彩で行う場合もあります。熟練した職人さんなので、いともたやすく細かいインクの粒をトレーに落としていらっしゃいますが、慣れていないと粒は思いのほか大きくなってしまい繊細な表現からは遠ざかってしまいます。

動画では、水面を揺らしながら紙に模様を摺り取っていますが、これは「ウェーブ」という水面の揺らぎをマーブリングに加えるためです。かつ、事前に紙のくせを付けておくことで、すり取った紙には落雷のような屈折した線が現れます。基本的には、空気が入り込まないようにゆっくりと紙を水面に落とし込み、模様を写し取ります。このように、一枚の紙であっても、ちょっとした工夫で複数の模様を混在させることが出来ます。と言っても、中々素人には会得しがたい技術であることには違いありませんね。いずれにせよ、自分が望むマーブリング模様を安定して写し取るためには、その土台となる水溶液の適切な配分を、感覚でマスターしなければならないようです。

おわりに

日本には、西洋式のマーブリングを専門とする職人さんは、(おそらく)一人も存在しません。マーブリングを美術作品の中心的技法として採用している方はあるようですが、恩田さんのように製本用のマーブリングに携わっている方はほぼ皆無でしょう。というより、本来製本とマーブリングは別個の領域ですので、製本職人でありながらマーブリングも習得している恩田さんの技術は、計り知れないものがあるということです。と、何だか恩田製本所の回し者のような発言をして批判を浴びそうですが、そんなことは意に介さず、最後に恩田さんがマーブリングおよび製本したノートブックを紹介して閉店ガラガラ。

ご興味がございましたら、youtubeのチャンネル登録にご協力頂けますと幸いです。動画の全編は下記となります。ご参考までに。

LE PETIT PARISIEN

(恐らく)日本で唯一の活動をしています。

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