Bonjour.今回は、古くから蔵書票に刻まれていたモットーに関して。モットーは、日本語では「座右の銘」や「標語」などと訳出されることが多いです。日本でも馴染みのある言葉ですね。紋章学では欠かせない要素の一つで、古くは紋章デザインが主流であった蔵書票においても、モットーは所定の位置に配置されていました。

※※必要な部分のみ切り出して紹介しておりますので、途中から動画が始まっている場合がございます。まずは動画からご覧になり、補足をお読みください。

歴史的なモットーとは、貴族が所有する紋章の下部に記述され、個人というよりは家系ごとに代々継承されたものを使用しているケースが多かったそうです。その後、貴族中心社会の瓦解と共に、個々人が好みとする座右の銘が記される機会が、徐々に増えてきました。今回ご紹介するモットーも、十九世紀後半頃に制作されたものと推測されるもので、歴史的なルールからは外れたものとなります。

動画に見えるように、かなりの長文です。When I know thee…からモットーが始まります。theeなんて、まずもって現代では使用されない文字列です。こういった古い単語を使用する所以の一つは、由緒ある文化であるモットーに、威厳と品格を持たせたかったからでしょう。日本の古典文学を紐解く際に、何か大仰で重々しい雰囲気を感じることがありませんか?その感覚と類似していると考えられます。

※動画中でthee(ズィー)をthy(ザイ)と説明しておりました。この場を借りてお詫び申し上げます。

18世紀以前に制作されたモットーの殆どは、ラテン語で記述されます。ラテン語は長らくヨーロッパの上流社会においてエスペラント的な言語であったので、その積極的な活用は自らの社会的地位を証明する一つの指標となった訳です。例えば、Festina lente(ゆっくり急げ)などは、よく知られているモットーの一つです。印刷史に多大な足跡を残したアルドゥスが、好んで使用していました。

おわりに

蔵書票は、単に所有者を規定する役割に限りません。それに付随するモットーにも焦点を当ててみると、所有者のパーソナリティにまで接近出来るかもしれません。一つの画面の中に、複合的な要素を孕んだ蔵書票の奥深さを、改めて認識した思いです。それでは、メルシー、アビアント、ボンジュルネー!それでは、メルシー、アビアント、ボンジュルネー!

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以上
LE PETIT PARISIEN

(恐らく)日本で唯一の活動をしています。

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